3 つのガンディー暗殺事件とインドの現代政治

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顧問・アジア文化フォーラム理事長 坂場三男

 独立後のインド社会は3つの病根を抱えてきた。宗教対立、カースト差別、そして民族問題である。インドの指導者であった3人のガンディーはこれらの病根と闘う中で苦悶し、非業の死を遂げた。
 インドは憲法によって世俗主義(政教分離)の民主主義国家と規定されている。これを政治的に具現したのがジャワハルラル・ネルーを初代首相とするインド国民会議派の歴代政権であった。世俗主義をシンボル化した人物がマハトマ・ガンディーであり、ネルーはその教えを受けた。インド国民会議派が権力の頂点を極めたのがネルーの一人娘であったインディラ・ガンディーの時代である。
 しかし、彼女が1984年に暗殺され、長男のラジブ・ガンディーが政権を引き継ぐとインド国内は政治的にも経済的にも不安定となり、インド国民会議派の威光に明らかな翳りが見え始めた。そしてそのラジブ自身が1991年にタミール人の自爆テロ犯によって暗殺されると「ネルー・ガンディー王朝」とまで呼ばれた3代に亘る政治エリート・ファミリーによる統治が終焉し、同時にインド国民会議派は一時期を除き野に下り続けることとなり今日に至っている。