自衛官の「唯一無二」の地位について考える

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副会長・元防衛事務次官 島田和久

1 .はじめに
 新たに就任した高市早苗総理大臣は、令和7年10月24日の所信表明演説において、「防衛力の中核である自衛官の処遇改善に努める」と述べたが、これに先立つ、同年10月20日の「自由民主党・日本維新の会・連立政権合意書」においては、自衛官の恩給制度の創設を検討すると明記した。具体的な合意内容は次の通りである。
 「自衛官の採用状況に関する深刻な情勢に対する危機感と、処遇改善を含む人的基盤の抜本的強化、自衛官の自衛官たる矜持を向上するための施策の必要性を共有し、現下の状況を打破するための抜本的な改革を目指して、自衛官の恩給制度の創設を検討する。」
 恩給制度が実現すれば大きな一歩だ。但し、この合意に従えば、その必要性は、自衛官の採用が厳しいからということになる。確かに、目の前の事象だけを見れば、その通りだろう。しかし、それでは事柄の本質を捉えていないように思う。