3週間余の「メコン放浪ひとり旅」が終わった。2022年の雨期が明けた11月、ここ5年で5回目の旅である。チベットでメコンやインダス、長江の源流に触れてから、私はすっかりメコンに取り憑かれてしまったらしい。
アマゾン、ナイル、ミシシッピーのような大河が概ね同一国内を貫流するのに対し、メコンはチベット高原から中国雲南省、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムへと7つの国と地域を4千数百kmに渡って流れる。
インドシナ半島には、インド文明や中国文明の影響を受けた、カンボジア人、タイ人、ビルマ人、ベトナム人や数多くの山岳少数民族などが、宗教、言語、風俗、慣習など、それぞれの文化やアイデンティティを尊重しつつ、歴史を超えて共存し、大河の恵みを均等に受けている。
元々インドシナ半島は中東諸国と同じような国の成り立ちで、列強の植民地支配を経て線引きされた国々だ。20世紀の世界戦争後もベトナム戦争、カンボジアのポルポト時代の内戦による虐殺、中越戦争、軍事クーデターなど殺戮の悲劇を繰り返してきた歴史がある。そして今、インドシナ半島には新しい近代化の時代が始まっている。