日本と中国の間には、これまでの歴史の中で幾度となく緊張状態が生まれてきたが、2025年11月を起点として一層深刻で複雑な緊張構造が形成されつつある。両国はこれまでも外交的摩擦を繰り返してきたが、今回の緊張は単なる一時的な衝突や外交的な応酬にとどまらず、東アジアの安全保障環境全体を揺るがし得る構造的性格を帯びている。その中心に位置しているのが台湾問題であり、両国が台湾をめぐって鋭く対立している背景には、これまでに蓄積されてきた地政学的、歴史的、政治的要因が複雑に絡み合っている。
このため、現在の日中関係の緊張を理解するためには、直近の発言や外交的応酬のみを追うのでは不十分であり、1972年の日中共同声明以来続いてきた台湾に対する根本的な立場の相違を振り返り、それがどのように現在の情勢に反映されているかを検討する必要がある。