現在、全世界的にEV(電気自動車)が普及拡大している。その主役は中国で、EVメーカーBYD Company Limited(BYD、比亜迪股份有限公司)、上海汽車(SAIC)、長安(Changan)など数百社が存在すると言われる。EVの特徴は、CO2排出が少なく、特にBEV(バッテリー電気自動車)は走行時に排出ゼロである。静音性と低振動に優れ、都市部の騒音対策にも有効とされる。エネルギー多様性に富み、化石燃料依存からの脱却を可能にする。災害時には、V2H(Vehicle to Home、EVを超大型蓄電池として捉え、その電気を家庭で利用できるようにするシステムのこと)に活用できるなど、様々な利点を持つ。
本稿では、近年、欧州はじめ世界の自動車市場において、中国製EVがこれほど爆発的に普及した要因は何か。EU(欧州連合)のEV普及促進策の功罪とは、中国製EVに付きまとう経済安全保障上のリスクとは、最後に日本はどう対抗するべきなのか、など複数の論点について考察する。