私はこれまでJFSS主催の「台湾海峡危機政策シミュレーション演習」に4回参加し、陸上幕僚長、統裁部兼内閣報道官、内閣情報官補佐官、特命担当大臣補佐官など多様な役職を拝命した。演習で補佐した先生方が後に入閣等の要職に就かれることは、参加者全員にとっての喜びであった。
この演習では「台湾有事=日本有事」という厳しい現実に直面し、南西防衛事態では交戦により自衛隊員が多数死傷する可能性が高いことが示された。その際に痛感したのは、国家として「戦没者の名誉」を守り、穏やかに「見送る仕組み」が未整備であるという危機感である。
1 .遺された者に寄り添う技術としてのエンバーミング
映画『Taking Chance(邦題:戦場のおくりびと)』(2009)は、中東で戦死した若い兵士の遺体を主人公マイケル中佐が丁寧に整え、遺族のもとへ帰還させる姿を描く。この処置がまさに「エンバーミング」であり、古代エジプトに起源を持ち、米国では南北戦争期に発展した。