戦後秩序の転換と日本の安全保障

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特別顧問・元陸上幕僚長 岩田清文

第1 節 ロシア・中国・北朝鮮・イラン 権威主義陣営の台頭
 去る2 月24日でロシアのウクライナ侵略開始から4 年が過ぎた。ウクライナ戦争を通じた権威主義陣営の結束が際立ち、戦後80年にわたり維持されてきた国際法と国際協調を基盤とする「ルールに基づく国際秩序」は、今や大きく揺らいでいる。残念ながら、戦後80年間、法による支配を尊重してきた民主主義陣営が、力による支配を重んじる権威主義陣営の台頭を押さえられなくなっているのが現実だ。
 侵略開始から4 年経った今も、和平の道筋が見えない要因の1 つに、北朝鮮、イラン及び中国によるロシア支援がある。北朝鮮は2024年6 月に「包括的戦略パートナーシップ条約」をロシアと締結し、その後約2 万人を超える兵士をロシアに送るとともに、ロシア軍使用の約半数から7 割に当たる約1,200万発規模の弾薬やミサイルを提供している(Bloomberg 2025年7 月)。またロシアに送り込まれた北朝鮮兵士のうち既に2,000名以上が戦死しているとの報道(韓国国家情報院)もあり、まさに「血の同盟」と言われる所以だ。その見返りに北朝鮮はロシアから潜水艦、弾道ミサイルや核技術を始め原油、小麦粉などの生活必需品の供与を受けている。