戦後秩序「国連憲章パラダイム」の終焉
―インド太平洋から新秩序の構築を―

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研究員 橋本量則

1 .はじめに
 昨今の国際情勢、特に大国の勝手な振る舞いを見て、国際秩序が損なわれていることを憂い、嘆く声をよく耳にする。だが、現在の国際秩序は果たしてそれに値するものなのか。本稿では、第二次世界大戦後、世界が慣れ親しんできた「戦後国際秩序」がどんなものだったかを振り返り、それが崩壊していくことを嘆くより、次にどのような新秩序を構築すべきかを考えてみたい。
 
2 .国連憲章パラダイムという国際秩序秩序の欠陥
 戦後の国際秩序は国連憲章を中心に構築されたもので、「国連憲章パラダイム」と言える。国連憲章パラダイムは、国連憲章第2 条4 項に謳われている「武力行使の禁止」、つまり「不介入主義」に基づき秩序を形成している。どんな独裁国家、専制主義国家であろうとも、その主権は尊重され、他国がこれに介入することは許されない。だから、独裁国家が圧政を敷いても、国内で国民にどんな弾圧を行なっても、他国はどうすることもできなかった。国内で悪事を働く独裁国家でも、その主権・国境を尊重することで国際紛争はなくなり、国際秩序が保たれると考えられたからだ。そこに民主主義や独裁政治の区別はない。