ヒンドゥー至上主義とインド政治の近未来

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顧問・アジア文化フォーラム理事長 坂場三男

 2023年9月、インドで主要20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)が開催された。3年ほど前のことであるが今でも鮮明に覚えている「景色」がある。会議の議長席には得意顔のモディ首相が着席していたが、同首相の前に置かれた国名プレートには英語名の「INDIA」ではなく「BHARAT」(バーラト)と書かれていた。この時ほど私がモディ首相の「本気度」を感じたことはない。
 「本気度」とはヒンドゥー至上主義に寄せるモディ首相の並々ならぬ熱い思いのことである。「BHARAT」とはヒンディー語で「インド」を意味し、もともとは古サンスクリット語にある言葉である。ヒンディー語はインドの公用語だが「国語」ではなく、他にもベンガル語やタミール語など公用語はたくさんあるため、公的な場、特に国際会議などで「BHARAT」の国名を使用することは不適切の誹りを受けかねない。それにも拘わらずモディ首相はG20サミットという最高レベルの国際会議の場で敢えて「BHARAT」の表記を使用し、インドがヒンドゥーの国であることを内外にアピールしたかったのである。少なくとも私にはそう感じられた。