第2回「防災と法」研究会報告要旨

                                                                   事務局長  井 晉
  今回の研究会では、東日本大震災と法的検討の方向について議論が行われ、提示された研究会の全般日程と整理案が検討された。

1 東日本大震災と法制検討の方向
  第1回研究会の論点を踏まえ、@大規模震災対応のための、現行法制には決定的な欠落箇所が認められるか(新たな法律を制定すべきか)、および、A現行法制下で法の運用で事項をカバーできるか、カバーできるならそのための方策は何か、について検討する必要があり、@、Aのいずれの立場をとるかによって、次回以降の研究会の方針が変わってくる旨の指摘がなされた。
 さらに、東日本大震災の教訓との関連で、@国家の非常事態であり、有事のみならず大規模災害をも対象とした「緊急事態基本法」を制定すべき(国家緊急権)であること、および、A現行法を駆使できない政府の対応が問題であり、危機管理にかかわる政府の一元的な指揮統制能力の向上と、平素からの訓練が重要であることが示された。加えて、本研究会の趣旨として、東日本大震災にかかわる法制上の論点・課題を整理し、第三者的立場から今後の提言に資する論議を行う必要性が指摘された。
 また本研究会の趣旨に照らし、今後の検討の方向性として、@基本的検討として、国家安全保障・危機管理の整備、および、A部分改編として、現行法に基づく政府の指揮統制、運用能力の向上の2点について、具体的な必要性が強調された。すなわち、 @については、大規模災害を国家非常事態にカテゴライズし、複合事態を前提とした安全保障・危機管理の構築のための基本法として「国家緊急事態基本法」または「安全保障法」について検討する必要がある。また、法律(基本法)は、国家目的を達成するための手段(組織、権限、責任の所在)の枠組みを規定したものであり、新法制定議論の前提は、現行法の基本事項(組織、権限、責任の所在など)の不備・変更について、単なる必要性に言及するのみならず実証的研究に基づいて、立証する必要がある。
 Aについては、基本法に基づく各種政令・諸計画の細部を点検し、具体的に「総合調整」、「要請」、「指示」すべきであった事項を詳細にリストアップする必要がある。例えば内閣官房長官など一部組織の構成改革も念頭において考察する必要があろう。また、リストアップした具体策について、時間的尺度や現実可能性を考慮し、東日本大震災の実際のシナリオに挿入することが必要である。

2 研究会の全般日程と整理案
 
「防災と法」研究会の全般日程として、今後、月2回を基準に研究会を実施し、来年3月までに提言案の審議を終了することとし、資料の収集および整理要領について、提示された整理要領案を基に検討が行われた。
 すなわち、「問題点が全部わかれば問題は半ば解決したも同然である」との観点から、本研究会の整理項目として次の3点、すなわち、@法令の見直し(自衛隊の行動を規律する法等)、A運用・解釈の見直し(災害救助の装備不足等)、およびB実行能力の見直しに分けて整理し、検討することにした。さらに、これらの各整理項目の細部項目として、@背景となった事実、A検討を要する問題点、B問題点の改善方向、C問題点の改善案、およびD提言の是非に分けて整理を行い、今後、これら整理された問題点に対し、具体的かつ現実的な改善案をまとめていくことにした。


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