Key Note Chat 坂町

第98回
「トランプ政権の東アジア安全保障政策」

  長野禮子 

 トランプ政権発足から2ヵ月が経過した。徐々に新政権の政策やトランプ氏の人物像が浮かび上がる中、世界は経済界出身の大統領がどういう国家運営をするのか、予測の難しい新たな時代の始まりを注視している。さしずめ日本にとっては、対中宥和政策をとり続けた前政権の政策転換を表明した新政権と、日米両首脳を始め外交・安全保障のトップとの価値観の共有が確認できたことは喜ばしいことである。が、同時に、中国・北朝鮮からの脅威に対する盤石な体制づくりが喫緊の課題となっている我が国の状況、南シナ海における中国の横暴な振る舞いを阻止し、「航行の自由」を守るための具体的戦略と行動を完遂するためには、周辺国との協調を促進させ、日米同盟の強化と深化が更に重要になるのは理の当然。 
 建前ではなく本音を前面に出すトランプ政権がスタートした今こそ、従来の同盟関係に甘んずることなく、我が国も「普通の国」になる好機と捉え、その果たすべき役割について国民世論と共に真剣に考え、行動する時が来たのではないか。そのためには、米国からの日本に対する厳しい要求にも応える努力を怠ってはならず、それが実行され成し得た時に、初めて同盟国としての「価値観の共有」が実を結んだと言えるのではないか。
 今回は、元米海兵隊大佐であり外交官も歴任したグラント F・ニューシャム氏に、トランプ政権の安全保障政策について幅広い視野でお話いただいた。
テーマ: 「トランプ政権の東アジア安全保障政策」
講 師: グラントF・ニューシャム 氏(JFSS上席研究員・元米海兵隊大佐)
日 時: 平成29年3月21日(火)14:00~16:00

第97回
「南西諸島防衛を強固にするために」

  長野禮子 

 トランプ氏が米国大統領に就任して1ヵ月半。政権幹部の人事は難航しているようだが、2月に来日したマティス国防長官、更に3月15日来日予定のティラーソン国務長官は我が国にとっても歓迎すべき人事だと言われている。
 トランプ大統領は2月末、国防予算の10%(約6兆900億円)増を予算案に取り込むと発表。実現すれば「歴史的な拡大」となるそうだが、日本はどうか。常態化している中国・北朝鮮の脅威に対する備えは十分と言えるのか。
 北が日本と韓国を攻撃すれば米国は100%応戦する。しかし、中国がもし南西諸島を攻撃してきても、日本はそれを防ぐための訓練すらしていないのが現状だ。早く米海兵隊並みの力をつけると共に、統合部隊をつくり、そこに米海兵隊司令部を置けば「中国への抑止」が機能する――と、今回のゲスト、アワー氏は言う。更に、米海軍と海上自衛隊の関係は良好だが、陸海空の統合運用は不十分だと指摘。「自分の国は自分で守る」姿勢を示さなければ、同盟国米国は出て来ない。 
 6日、北朝鮮は4発のミサイルを発射し、うち3発が日本のEEZ内に落下。また南西諸島における中国の脅威も続いている現状にありながら、国会では野党が責め立てる大阪の小学校の問題ばかりが喧しい。もっと冷静になって我が国の正面にある安全保障問題を真剣に議論してほしいものである。

テーマ: 「南西諸島防衛を強固にするために」
講 師: ジェームスE・アワー 氏(JFSS特別顧問・ヴァンダービルト大学名誉教授)
日 時: 平成29年3月7日(火)14:00~16:00

第96回
「トランプ政権に期待すること、懸念すること」

  長野禮子 

 トランプ大統領は就任した1月20日から1月末までに18の「大統領令」に署名し、60の公約のうち既に15に着手している。スピード感をもって政治をしている。日本人には馴染みのない「大統領令」だが、過去最高はF・ルーズベルトの3728、最近ではクリントンの364、ブッシュの291、オバマの276となっている。平均すれば739,5 というから、トランプ氏の大統領令もこれからどんどん出ることだろう。
 日本は米国の大統領が代わるたびに日米関係はどう変化するだろうかと心配し、ああでもない、こうでもないと専門家等々のコメントが報道されてきたが、2月3日来日したマティス国防長官は「尖閣諸島は日米同盟第5条の適応範囲に含まれ、それを損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と、中国を念頭にした共通認識を表明。北朝鮮の核・ミサイル問題、更に「核の傘」を含む拡大抑止にも言及し、従来の日米同盟の堅持と更なる深化に対する認識も確認された。
 ケビン・メア氏は、トランプ政権の安定までには時間がかかり、国内の混乱も暫く続くだろうが、2月10日、安定した政権運営をしている安倍首相とトランプ大統領との会談は双方の信頼関係構築に不可欠であり、外交・安全保障に加え経済面での問題も克服できるだろうと話す。
テーマ: 「トランプ政権に期待すること、懸念すること」
講 師: ケビン・メア 氏(JFSS特別顧問・元米国務省日本部長)
日 時: 平成29年2月7日(火)14:00~16:00

第95回
「報道されない半島情勢」

  長野禮子 

 北朝鮮の金正恩総書記は2017年の「新年の辞」で自らの能力不足を国民に詫びるなど、かつての金日成や金正日には考えられなかった謙虚な態度を見せた。と同時に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)が最終段階に入ったとし、核・ミサイルの高度化を誇示した。
 元商社の法務を担当していた本日の講師、宇田川氏が入手した情報によれば、金正恩は今、金正日が考案した「三権力鼎立」を使いきれていないため、国民がクーデターを起こす可能性も否定できない。故に、三権力(朝鮮労働党・人民解放軍・行政機構)が融合しながら国家運営をしている。金正恩は傀儡ではないか――との仮説を立てる。 
 一方、韓国の現状と今後の展望、そして韓国国民の考えていること――についても、氏ならではの情報とそれによる氏の分析は、報道では決して知り得ないこととして参加者の 興味を惹いた。

テーマ: 「報道されない半島情勢」
講 師: 宇田川 敬介 氏(作家・ジャーナリスト)
日 時: 平成29年1月24日(火)14:00~16:00

第94回
「Global Trend・トランプ政権の安全保障政策・日米同盟への影響」

  長野禮子 

 11月8日の米大統領選挙でのトランプ氏の勝利は世界中を驚嘆させた。この結果を受けて米国はもとより日本でも様々な視点から、次期政権への取組に対する推測(期待や懸念)が語られている。日にちが経つにつれ閣僚人事や政権中枢に入るメンバーの名前が挙げられ、これについての評価も喧しい。
 JFSSでもこの選挙結果を受けて専門家をお招きし話を聞く機会を設けてきたが、今回も渡部悦和氏の米国からの帰国の機会を調整いただき、以下の点について詳しくお話いただいた。

1、「多極構造の世界」と「G-Zeroの世界」
2、トランプ次期大統領の対外政策
3、トランプ政権の安全保障政策
4、日米同盟への影響と日本の対応

 奇しくもこの日(11月15日)は、プーチン露大統領が9人の閣僚と共に来日し、安倍首相の故郷である山口県長門市で首脳会談が行われた。来日前からプーチン大統領の強気な発言が伝えられていた中、北方四島での共同経済活動実現に向けての協議に対する合意はなされたものの、「領土問題」解決への進展はなかった。
 ビジネスマンのトランプ氏は選挙中も米露関係を立て直す発言を自信満々に語っていた。もしそれが現実になれば日本の新たな懸念も生まれる。が、欧米諸国の政治的混迷と厳しい対露姿勢が続く中で、我が国は安倍首相の「地球儀を俯瞰する外交」による国際社会の信頼を背景に、是々非々、且つ強かに取組んでもらいたいものである。
 
テーマ: 「Global Trend・トランプ政権の安全保障政策・日米同盟への影響」
講 師: 渡部 悦和 氏(JFSS政策提言委員・元陸自東部方面総監・ハーバード大学アジアセンターシニアフェロー)
日 時: 平成28年12月15日(木)14:00~16:00

第93回
「米国新政権と我が国の安全保障政策」

  長野禮子 

 11月8日の米国大統領選の結果を受けて、国内外のメディアは今回の「番狂わせ」と言われる結果を見て、今後の米国の行方と新政権の下で執り得るだろう政治・経済・軍事政策などを想定しながら様々な視点からの議論を続けている。
 今回はワシントンDC在住で米国の要人や研究者など幅広い人脈を持つ廣中雅之氏をお迎えし、主に以下の5点についてお話いただいた。
 
・大統領選挙の結果をどう読むか。
・当面の国防政策・戦略、如何?
・政権移行準備の状況、如何?
・米国の中長期的な国防政策・戦略をどう読むか?
・米国新政権の我が国の安全保障への影響、如何?

テーマ: 「米国新政権と我が国の安全保障政策」
講 師: 廣中 雅之 氏(JFSS政策提言委員・前空自航空教育集団司令官・CNAS上席研究員)
日 時: 平成28年11月28日(月)16:00~17:30